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仙台ジィングフェライン合唱団第9回演奏会 (2006年4月16日)
 今日はジィングフェラインの演奏会を聴いてきました。曲目はハイドンの「テ・デウム」、メンデルスゾーンの「詩篇第42篇 谷川の流れを鹿が慕うがごとく」、モーツァルトの「戴冠ミサ」でした。
 開演の15分ほど前に着いたのですが、青年文化センター・コンサートホールの席はかなり埋まっていました。席について、パンフレットを見ると、合唱団はソプラノが22人、アルトが19人、テノールが5人、バスが6人というものすごい人数バランスで、どんな演奏になるのだろうかとちょっと心配になりました。また、コンサートホールのあの心地よい椅子に座ったとたんに瞼が重くなってきて、演奏中に眠ってしまうのではないかと、それも心配になりました。

 第1ステージは「テ・デウム」でした。とてもきれいな演奏でしたが、やはり女声に押されて男声があまり聞こえてきませんでした。女声は数が少ない男声を意識して声が十分に出し切れていないのか、発音がはっきりとせず、言葉が客席まで伝わってきませんでした。オーケストラ(プロ・ムジカオーケストラ仙台という、たぶんこの演奏会のためのオーケストラ)は決して下手ではありませんでしたが、東京バッハ・カンタータ・アンサンブルのような合唱団を浮き立たせる p の演奏はできず、オケの音が合唱の前に立ち塞がってしまうように聞こえることも少なくありませんでした。(でもそれは、やはり合唱団の声の飛ばし方の問題のように感じました。オケがことさら大きな音で鳴っていたわけではないからです。)

 第2ステージのメンデルスゾーンの演奏では、もう一つの心配が現実のものになってしまいました。2曲目のソプラノ・ソロの途中で猛烈な眠気が襲ってきて、それ以降の記憶がありません。気がつくとお客さんが拍手をしていました。第2ステージはほとんど丸々寝てしまいました。

 第3ステージは、十分眠ってスッキリした気分で聴くことができました。でも、合唱団とオーケストラの音楽的な問題はやはり第3ステージでも改善されることはありませんでした。合唱団の声がオケの前まで来ないので、ステージの中だけで合唱が完結してしまっているような、聴いている方としては欲求不満の残る演奏でした。

 今日の演奏会で一番面白かったのは、アンコールのモーツァルト「アヴェ・ヴェルム・コルプス」でした。指揮者の四野海さんが、22小節のところから楽譜には指示のない、かなりはっきりした Piu mosso をかけたのです。合唱団は反応よくついて行ったのですが、オケは合唱に比べると緩慢で、合唱とオケとの間のアンサンブルがかなり乱れ、スリリングな演奏になりました。30小節からまた元のテンポに戻ったのですが、40小節あたりで今度はソプラノの動きにあわせてルバートしたりして、これまた今まであまり聴いたことのないアゴーギクでした。アンコールは、指揮者の四野海さんのやりたいことが明確に出た(それが妥当かどうかは別にして)一番面白いスリリングな演奏でした。