本間雅夫の音楽 '10 (2010年11月22日) |
本間雅夫の音楽 '10 を聴いてきました。これは、2年前に亡くなられた本間先生の追悼の意味を込めて、宮城教育大学音楽科の教授や卒業生が中心となったプロジェクトが主催したコンサートです。恩師・本間先生の曲を、久しぶりにまとめて聴くことが出来るコンサートでした。 本間先生には大学時代に大変お世話になりました。音楽理論の授業で、機能和声をみっちり仕込んでいただきました。機能和声についての知識・技能はもちろんのこと、広く音楽の見方・とらえ方を教えていただきました。その時に学んだことが、その後の私の音楽理論的なバックボーンになっています。しかし、大学時代には、正直言って本間先生の曲は好きではありませんでした。気難しくとっつきにくい感じがするし、常に緊張を強いられているようで、ゆったり浸って聞いたり、楽しんだりすることが出来ないからです。大学に入って音楽を始めた私は、本間先生の曲を理解するには、当時はまだ音楽的素養が足りなかったのだと思います。でも、今回は違いました。一曲一曲が心に染み入って来るように感じました。 演奏は、ヴァイオリンの伝田正秀さん、チェロの原田哲男さんをはじめとする仙台フィルのメンバーのほか、ピアノの赤城眞理さん、仙台オペラ協会のバリトン鈴木誠さん、遺稿となった「みちのくの山にくがね花咲く」を委嘱した合唱団パリンカなど、おそらく現在望みうる最高の布陣だったと思います。どの演奏も素晴らしかったのですが、白眉はやはり、赤城眞理さんの弾いた「クロスモード」です。鬼気迫る演奏で、おそらく世界で最もこの曲を弾いている赤城さんの演奏の中でも、最高度に凝集された演奏だったのではないかと思います。 曲は作曲家の人柄まで映し出す鏡です。今回聴いた本間先生の曲はどれも、「人間の感情に合わせて音楽を作るんじゃない。新しい音楽が新しい感情を作り出すんだ」と言っていた先生の作曲に対する信念がストレートに音になっているように感じました。きっと、今回取り上げられた曲ばかりではなく、先生はいつもそういった信念を持って曲を書いていたのだと思います。 このコンサートを聴いて、本間先生と久しぶりにお話できたような気持ちになりました。 |