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三善 晃 作曲 「おてわんみそのうた」について


 「おてわんみそのうた」は、音楽学者・小泉文夫編「わらべうた研究」(1969)に収められた東京のわらべうたをもとに作曲された。
 日本民謡を研究し、それをもとにして多くの合唱曲を作曲している作曲家に間宮芳生がいるが、三善晃の「おてわんみそのうた」は同じ日本の旋律をもとにしているにもかかわらず、間宮のものとは明らかに趣が異なる。間宮の曲は、現代的な響きはするものの、どこを切ってもやはり日本の民謡の土俗性を感じるのに対して、三善の「おてわんみそのうた」は、ある部分を聞くと、しゃれたフランス風の音が響いたり、バルトークやコダーイのような東欧の響きがしたりする。日本のわらべうたが、こんなに洗練された音になるのかと驚くほどである。かと言って、わらべうたがヨーロッパ風にアレンジされたというのではない。曲全体は、日本のわらべうたの雰囲気が壊されていない。
 「おてわんみそのうた」の中で、わらべうたは三善の卓越した作曲技法によって洗練され、現代的な響きを纏って蘇った。



( 2003.12.5 仙台放送合唱団 第42回定期演奏会プログラムより )