もの思いの放課後

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伴奏付き                                          2005. 3.13

 時期が時期だけに、卒業式が各学校で行われています。市内の中学校はだいたい先週、そして小学校は今週というところが多いようです。
 小学校の卒業式では(卒業式だけでなく、始業式や終業式などの式典では)最初と最後に修礼と呼ばれるピアノ伴奏つきのお辞儀をします。あの主和音→属和音→主和音のジャン、ジャン、ジャーンというやつです。
 初めて仙台市内の小学校に勤務して入学式でその修礼を見たとき、思わず吹き出しそうになりました。大の大人が(来賓の方々もみな)まじめにピアノ伴奏に合わせてお辞儀しているではありませんか。岩手県で生まれ育った私は、小・中・高を通じてそんなお辞儀はしたことがなかったのです。
 私が見たことがある伴奏付きお辞儀は「8時だよ!全員集合」の中の「少年少女聖歌隊」のコーナーでやっているだけでした。だから勤務した小学校で初めてその修礼を見たときは、大人まで真面目くさってドリフのまねをしているようにしか見えなかったのです。
 その後、いろいろと同業者の話を聞いてみると、宮城県内出身の人は、そのお辞儀が当たり前だったとのこと。だから、式典で伴奏つきお辞儀をすることに違和感はないのだそうです。私は何度か職員会議で「式典で礼をするとき、ピアノ伴奏は要らないのではないか。」と発言した事がありましたが、ほとんどが宮城県出身者で占められる職場では全く取り合ってもらえませんでした。
 伴奏付きお辞儀は、「明治時代、学校制度を整えるために外国に視察に行った一行が、音楽会で聞いた無伴奏で歌い始めるための音取りの主和音→属和音→主和音の意味が分からず、日本に帰ってきてそれをお辞儀にあてはめて使ったのが始まりだ」というふうに聞きました。だから、ピアノ伴奏付きでお辞儀をするのは日本だけの間違った習慣だし、それを式典の中で真面目にやるのもおかしいことなのに、いまだに仙台市内の小学校ではどこでもこれをやっているようなのです。
 職業柄、私も一年に何度かこの修礼をしていますが、今でもやるたびに気恥ずかしくてたまりません。
 (修礼は宮城県だけの呼び名のようで、辞書にも載っていません。)


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